(4) 防災・減災コンサルティング(Geo事業)
地域の防災活動を支援するために、地元自治会と学生との防災ワークショップ(災害図上訓練、防災町あるき、防災マップ作り)を支援しています。
防災図上訓練(まちのつくり、課題の整理)
防災まち歩きによって、防災視点で地元を再確認
【学会発表】
土木学会中国支部平成30年度研究発表会:地域住民と学生による防災マップ作成の取り組み-呉市広長浜地区の事例-
■論文のつぶやき (2021年度土木学会中国支部研究発表会論文投稿2編について)
巨大地震に関する意識調査の実施
呉南学園(中学校)、呉市広長浜地区自治会連合会と連携して巨大地震についてまち歩きをもとに防災マップを作成。 また、アンケート調査によって巨大地震に関する意識調査を実施。 災害巨大地震として ①南海トラフ地震および ②瀬戸内海域活断層地震があげられる。 最高津波水位は①で3.6m、②で2.9m、最大津波襲来までの時間が①で約4時間、②で約3時間とされている。 多くの古い家屋が密集する地域において津波の影響をうける海側の学校にいち早く避難することの重要性を認識していただくために、学園正門に最高津波高と地盤高の差分の2種類の浸水深を表示し、マスコミにも紹介した。 地震の揺れによる古い家屋の倒壊数を概算し、閉じ込め者数の推定、重傷者数の推定、また、避難経路の通行可否や津波による被害の推定し、アンケートで確認することによって、巨大地震への備えについて認識を 高めることが出来た。 以上の取り組みは、類似する地震津波の被害への具体の備えに対して応用できる成果となった。 |
■2021年 土木学会中国支部研究発表会論文
巨大地震を想定したアンケートによる意識調査-呉市広長浜地区の事例-
呉工業高等専門学校 フェロー会員 〇 福田直三(前非常勤,㈱新日本技術コンサルタント)・正会員 黒川岳司
呉市立広南学園 非会員 久保好寛・荒本礼二 呉市広長浜自治会連合会 非会員 山根一夫・石田研吉 呉工業高等専門学校(前学生) 非会員 松本凌太朗・河本紗希・平山竜成・村上浩樹 1.はじめに 南海トラフ巨大地震(マグニチュード8〜9)が今後30年のうちに70%〜80%の確率で確実に発生することが予測されている.これに対して呉工業高等専門学校(以下,呉高専と略す)では,これまで防災工学の講義において広長浜地区を事例として巨大地震発生時を想定した防災マップ作りを行っている1),2).また,呉市立広南学園(小中一貫校,以下,広南学園と略す)では,学校における避難所運営マニュアルを作成し,地域への周知活動を行っている.これらの取り組みは,図-1の模式図に示すように呉高専では発災前,広南学園では発災後を対象とし,それぞれ災害死・災害関連死を減じるための備えとして関連する取り組みとなっている. しかしながら,巨大地震発生後に避難所である学校までの避難経路の安全性を考える際に無事に避難できていることが前提とする傾向があるが,現実には建物の倒壊・家具の転倒による閉じ込め・重軽傷を負うという問題を無視できない.また,平地における閉じ込め者を救出するために,最高津波が襲来するまでの約4時間は十分なのか否かという問題もある.さらに,避難所においてコロナ禍のもとで果たしてどのくらいの人数を収容できるのか不明である. 2 巨大地震発生時の被害想定 表-1は胡子地区および東地区における家屋の立地場所(平地・傾斜地),建築年が1981年より古い家屋か新しい家屋かについて戸数を整理したものである.これらをもとに被害想定を行った. 図₋2 計測震度と全壊数との関係(気象庁に加筆)③ 【全壊家屋数】気象庁による既往地震による家屋全壊数の関係図3)をもとに,呉市で想定されている震度6弱に対し計測震度6.0として図-2から各地区の家屋の倒壊率を古い:10%,新しい:2%とし,四捨五入で全壊家屋数とした.全壊数は平地で9戸,傾斜地では16戸となった.1世帯当りの居住者は1.7人であり,閉じ込め数は43人となる. 3 アンケートによる巨大地震に関する意識調査 巨大地震に対する意識調査として,広長浜に居住する広南学園中学生17名および胡子地区および東地区の自治会代表者54名(70代〜80代:70%)にアンケート調査を実施した.調査に際しては2つの巨大地震・津波の特性を示すなど情報を提供し,回答することによって理解を図るとともに2.で示した定量的な被害想定に対する意識を確認することとした.図₋3は主なアンケート結果について中学生と自治会との意識の比較をしたものである.なお,平地の立地は中学生93%,自治会69%であった.主な結果は以下の通りである. 4.あとがき 呉市においても確実に襲来する巨大地震に備えるべく,定量的な被害想定をもとにアンケートによる意識調査を実施した.広南学園による防災学習・防災活動や呉高専による地震防災マップ1),2)を今後の地域の備えとして連携・協働することが重要と位置付けている. 図₋3 アンケート結果の比較(左:中学生,右:自治会) 参考文献 1) 福田直三・黒川岳司・今谷龍彦・山根一夫・石田研吉ほか(2020),巨大地震発生時を想定した住宅密集地のDIGの取り組み-呉市広長浜地区の事例,土木学会中国支部第72回研究発表会,Ⅳ-12,270-271 |
巨大地震を想定した住宅密集地の防災マップ作りと地域波及への取り組み
呉工業高等専門学校フェロー会員 福田直三 (前 非常勤 ,㈱新日本技術コンサルタント )・正会員 黒川岳司
呉工業高等専門学校 (前学生 ) 非会員 〇笠井梨 瑚 (呉市 ・宇根本一輝・大上大稀・岸本裕聖 呉市立 広南学園 非会員 久保好寛・荒本礼二 呉市広長浜 自治会 連合会 非会員 山根一夫・石田研吉 1.はじめに 災害への備えとして市町村から各種ハザードマップが提供されているが,地域住民の理解や備えに繋げるための取り組みは十分ではない. 2 巨大地震を想定した防災まち歩きの視点 DIGの第一ステップは, 当該地域のつくりの把握と 災害の影響の把握である. 巨大地震としては通常南海トラフ巨大地震が考えられるものの, 2001年芸予地震 M6.7, 最大震度 6弱 のように瀬戸内海域活断層地震の発生も想定されている. 表 -1は呉市における 2つの巨大地震および津波の規模を示したものである. 瀬戸内海域活断層地震は,最高津波水位は2.9mと前者の 3.6mに対して若干低いものの最大津波到達時間が前者の約 4時間に対して 3時間と短く,安全な避難行動に影響を及ぼす可能性がある.このことを地域住民に理解を図る必要がある. 3 防災まちあるきと防災マップの作成 図-2は地震を想定した防災まち歩きを実施した際の主な事例である. 図-3 傾斜地の密集住宅地における一時避難場所候補地 図–4はは東地区における地震防災マップを示したもので東地区における地震防災マップを示したものである.避難所となるある.避難所となる小中学校は埋立地に立地しているが,小中学校は埋立地に立地しているが,その下に山からの川が暗渠として設置されており,津波襲その下に山からの川が暗渠として設置されており,津波襲来の際の津波遡上の通路となることに留意する必要がある.来の際の津波遡上の通路となることに留意する必要がある. 4.地震防災への地域波及の取り組み 巨大地震を含め災害への備えへの意識向上への支援が重巨大地震を含め災害への備えへの意識向上への支援が重要である. 図-5 大地震津波浸水深表示板の除幕式とマスコミ報道状況除幕式とマスコミ報道状況 5.あとがき 災害時の目線で地域の防災意識向上が重要である.地域災害時の目線で地域の防災意識向上が重要である.地域自治会と学校との連携により,減災活動を今後とも継続し自治会と学校との連携により,減災活動を今後とも継続していく必要があると考えている.ていく必要があると考えている. 参考文献 1) 瀧本浩一;地域防災とまちづくり-みんなをその気にさせる瀧本浩一;地域防災とまちづくり-みんなをその気にさせる災害図上訓練-災害図上訓練-COPA BOOKS自治体議会政策学会叢書,イマ自治体議会政策学会叢書,イマジン出版ジン出版 |
○論文公表実績
年度 | 発注者 | 論文名 | 場所等 |
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2018.6 | 土木学会 中国支部 | 地域住民と学生による防災マップ作成の取り組み-呉市広長浜地区の事例- | 呉市・広地区 |
2019.3 | 土木学会 西部支部 | 防災マップ作りとその活用-鹿児島市山下校区の事例- | 鹿児島市・山下校区 |
2018.6 | 土木学会 中国支部 | 地域住民と学生による防災マップ作成の取り組み-呉市広大広地区の事例- | 呉市・広地区 |
2018.6 | 同上 | 地域住民と学生による防災マップ作成の取り組み-呉市広徳丸地区の事例- | |
2018.6 | 同上 | 呉市広長浜地区DIG活動後の平成30年7月西日本豪雨災害時の対応と課題 | |
2019.9 | 土木学会 全国大会 | 鹿児島市山下校区におけるDIGと3Ð防災マップの試行 | 鹿児島市・山下校区 |
2019.11 | 地盤工学会九州支部地盤災害減災forum in Asia | Analysis of disaster mitigation awareness and behavior change of community associations by study sessions and experience of 2018 July heavy rain | 呉市・広地区 |
2020.6 | 土木学会 中国支部 | 巨大地震発生時を想定した住宅密集地のDIGの取り組み -呉市広長浜地区の事例- | 呉市・広地区 |
2020.6 | 同上 | 2018.7豪雨被災経験を活かしたDIG手法の防災マップ作り-東広島市高屋東小学校区の事例- | 東広島市・高屋東小学校区 |
(5) 地形・形状モニタリング(Geo事業)
ドローンやレーザ計測により地形の3次元表示を行い、設計・計画・維持管理などに応用します。
以下は3次元ハザードマップを整理した事例です。
3次元浸水想定図(標高段彩図)
土砂災害警戒区域図の3次元表示
【学会発表】
土木学会中国支部平成30年度研究発表会:地域住民と学生による防災マップ作成の取り組み-呉市広長浜地区の事例-
(6) 地盤調査・解析(Geo事業)
① 工学博士・吉村辰朗氏と共同で自然地盤が発する微弱な放射線(γ線)を計測し、地質的弱線(断層、断裂など)を特定する調査を実施・支援をします。
【学会発表】熊本地震地すべり調査(地盤工学会調査団)
2017.3熊本地震高野台地すべりにおける弱線の影響の可能性調査
② 安定な地盤・土構造物(補強土構造物含む)の評価
熊本地震で崩壊部と非崩壊部が隣接した補強土壁 再構築時に確認された断裂構造の原因調査
【学会発表】
地盤工学会九州支部委員会活動、第53回地盤工学研究発表会(2018.7)
1)2016年熊本地震で被災した補強土壁の詳細調査(その1)γ線探査
2)2016年熊本地震で被災した補強土壁の詳細調査(その2)崩壊機構
○論文公表実績
年度 | 発注者 | 論文名 | 場所等 |
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2012 | IS Kiryu | Newly developed method of predicting slope collapse places triggered by faults combined with γ-ray and magnetic susceptibility survey | 福岡県 |
2013 | JS Okinawa | Importance to evaluate of fault fracture zones for construction of infrastructures in mountain aria by γ-ray survey | 福岡県 |
2015 | 15回地盤工学 アジア地域会議 | New approach to determine faults properties inducing landslides by combining surveys with airborne lidar and gamma-ray detection | 長崎県 島原 |
2017.3 | 土木学会 西部支部 | 熊本地震高野台地すべりにおける地質的弱線の影響の可能性調査 | 熊本県 南阿蘇 |
2018.7 | 第53回地盤工学研究発表会 | 2016年熊本地震で被災した補強土壁の詳細調査(その1) | 同上 |
2018.7 | 同上 | 同上(その2) | 同上 |
2019.6 | 土木学会 土木史研究 | 熊本城跡における物理探査による表面地層構造の把握 | 熊本市熊本城 |
2019.10 | 16回地盤工学 アジア地域会議 | The effect of fracture zones on a failed reinforced soil wall induced by severe ground motions during the 2016 Kumamoto Earthquake | 開催場所 Taipei熊本県南阿蘇 |
2020.9 | 第19回土砂災害シンポジウム | 斜面災害を規制する断裂構造 | 宮崎県・小林市 |